空白期間、退職理由はどう答えたら・・・元転職エージェントが教える中途採用面接の想定問答

転職活動の準備をする中で、最初にぶつかる壁に多いのが退職理由です。

筆者も転職エージェントとして様々な転職希望者と話をしてきましたが、面接対策をする中で特に時間がかかるのが退職理由の内容についてでした。

また、前職を退職してから期間が空いていしまっている方の場合、面接の中で必ずその空白期間についての説明が求められます。

空白期間も退職理由も、どちらもネガティブな印象になりやすい内容ですが、伝え方ひとつで印象は大きく変わってくるのです。

ここでは、中途採用面接において注意したい空白期間、退職理由の伝え方について、ご紹介したいと思います。

転職活動における空白期間とは

前職を退職してから現在に至るまでに開いてしまった期間の事を一般的に空白期間、またはブランクと言います。

数か月のブランクであればほとんど気にされることはないですが、半年~数年単位に及ぶ場合は、確実に説明が求められると考えた方が良いでしょう。

就業していない期間をどう過ごしていたのかは人によって様々です。自身の療養や、家族の介護、資格取得や通学、留学など様々な事情があるでしょう。

企業はなぜ空白期間を気にするのか

基本的に企業は中途採用には即戦力性を求めます。これまで築いてきた人脈もぜひ役立ててほしいというのが採用側の希望でもあります。

離職してから期間が空いている場合、仕事に対するモチベーションが下がっていないか、これまでの経験・知識が薄れてしまっていないかということを気にするのです。

採用後に即戦力として働いてもらうということが前提の中途採用だからこそ、その懸念はあって当然と言えるでしょう。

また、転職活動をしていたにも関わらず就業していない期間が長くなっている場合、就業意欲があまりないのではないか、人間関係で問題を抱えやすいタイプではないかということを気にされます。

企業もコストをかけて採用活動をしているため、採用後に発生しうるリスクを極力減らしたいと考えているのです。そのリスクを減らすために、面接では詳細を確認されます。

空白期間をどう説明する?

まずは自分が離職してから現在に至るまで何をしていたのかを整理しましょう。

先に書いた通り、ブランクをどのように過ごしたかは人それぞれですが、経験上大きく分けると以下の4つに分けられます。

  1. スキルアップのための資格取得、留学
  2. ケガや病気の療養
  3. 家族の介護
  4. いつかはまた仕事をしようと考え続けて今に至る

それではそれぞれについての回答例をご紹介しましょう。

①スキルアップのための資格取得、留学

キャリアチェンジのために、またはキャリアアップのために離職期間中に資格取得を目指す人も多いと思います。

合格難易度の高い国家試験取得を目指す場合は特に仕事との両立が難しいという点から離職期間を活用する人が多いようです。

資格取得が出来た場合でも、叶わなかった場合でも比較的ポジティブな印象を与えやすいので話しやすいでしょう。

回答例:(資格取得が出来なかった場合)

離職期間は○○の資格を取得するための勉強をしていました。残念ながら今回取得が叶わなかったのですが、この期間で勉強したことは御社でも活かせると考えております。

また、次回合格できるように引き続き勉強は続けていこうと考えています。

②ケガや病気の療養

激務で体調を崩してしまったり、鬱などの精神疾患を患ってしまい、その治療のために離職期間が空いてしまうケースもかなり多く見受けられます。

採用する側からすると、完治しているのか、入社後の仕事に支障はないのかという点は確認したいところです

現在は問題ないということだけ伝えても懸念は払しょくしきれないので、療養期間中に志望先に関連する資格の勉強や自己啓発をしていたというような、就業意欲を感じられる内容を添えると良いでしょう。

なお、入社後にも定期的な通院が必要な場合は、その旨正直に伝えておきましょう

回答例

前職の激務で体調を崩し、しばらくの間療養していました。現在は医師から完治証明も出ており、就業に問題はありません。

また、療養期間を少しでも有意義に過ごしたいと考え、○○の資格取得のための勉強をし、この度無事に合格しました。

③家族の介護

家族の介護が必要になり、やむなく退職するというケースも多くあります。

介護に集中しなければならない期間が終わったこと、別の解決策を取ったことなどを伝え、入社後にまた介護のために休職や退職をする可能性があるかもしれないという懸念を払しょくできればOKです。

④いつかはまた仕事をしようと考え続けて今に至る

さて、最も回答が難しいのがこのパターンです。

なんとなくやりたいことが見つからず、なんとなく離職期間がどんどん長くなってしまっていたということをもし正直に言ったとすれば、大半の面接でNGとなるでしょう。

このパターンに当てはまる方の場合、覚悟を持って転職活動に臨んでいるということをより強く伝えなければなりません

面接官が持つであろう、入社してもすぐに辞めてしまうのではないか、入社できればうちでなくとも良いのではないかといった懸念を少しでも払しょくすることが重要です。

回答例

恥ずかしながら、前職を退職してから意欲を持って取り組みたいと考えられることを見失ってしまい、離職期間が長くなってしまいました。

とはいえこの期間を無駄にしてはならないと考え、○○についての勉強をしており、その際に御社の事業についても知り、今回面接を受けさせていただきました。

離職期間が長くなっておりますが、今回の選考は覚悟と意欲を持って臨んでいます。

絶対にしてはいけない回答

もし空白期間が長くなってしまっている理由が説明しづらい内容であったり、ポジティブな伝え方ができないような状態であったとしても、虚偽の解答だけは絶対にNGです。

私がエージェントとして支援をしていた頃、転職希望者から虚偽の経歴を申告され、企業もその虚偽に気づかず採用が決定してしまったことがあります。

最終的に入社してからその虚偽が発覚し、経歴詐称で解雇されてしまうという最悪な結果となってしまいました。

どんなに話しにくいことであったとしても、嘘や内容を盛って話すことは絶対にやめてください。

せっかく入社した会社をクビになるだけではなく、ブランクが空いていることでマイナスイメージを持たれやすい自分自身の経歴に、さらに不利な状況を作ってしまう結果を招いてしまいます。

ここまでのまとめ

離職期間に何か目標を立て、その目標達成のための努力をしていた方からすると、職歴の空白期間を説明することは容易なことです。

しかし、よりネガティブな理由で離職期間が長くなってしまっていた場合は、今回転職活動に臨むにあたっての覚悟と意気込みを明確に伝えなければなりません。

ふわっとした理由や、覚悟のない頑張りたいという言葉では、面接官に懸念を抱かせてしまうだけです。

空白期間が空いてしまったのであれば、この機会にしっかりとそのブランクと向き合ってみましょう。

退職理由はどのようにまとめ、どのように伝えればいいの?

前半では転職活動の面接対策でぶつかりがちな壁、空白期間についてのアドバイスをまとめました。

後半では退職理由をどのようにまとめ、どのように伝えればいいのかについてまとめたいと思います。

在職中でも離職中でも退職理由は人によって様々でしょう。中には正直には話しにくいというような理由もあるかもしれません。

ここでは、面接前に退職理由を整理するポイント、注意しなければならないポイントについてご紹介します。

なぜ退職理由を聞かれるのか

答えは簡単です。企業は転職希望者が、同様の理由ですぐに離職してしまうリスクがないかを見極めたいのです

企業は1人の社員を採用するために、金銭にも人員にもコストを割いています。

コストをかけて採用したにも関わらず、すぐに前職と似たような理由で退職されてしまうことは避けたいというのが企業の目線。

そして面接官は何人もの転職希望者との面接を経験している採用のプロです。

漠然としたとってつけたような退職理由を答えれば、十中八九1次面接でNGとなるでしょう

だからこそ、面接に臨む前に退職理由を整理してまとめておく必要があるのです。

退職理由を整理するポイント

面接時には極力ポジティブな内容で伝えるべき

本音の退職理由はネガティブな内容だという人は少なくないでしょう。

過去に私自身も転職を経験していますが、その当時の転職理由はあまりポジティブな内容ではありませんでした。

ただし、そのネガティブな内容をそのまま伝えてしまうと、不満を抱えやすい人かな?と捉えられてしまうかもしれません。

人間関係がうまくいかないから、給与が少ないからその手の内容だけをそのまま伝えれば、結果はNGとなるでしょう。

ポイントは、現職に関する不平不満だけを伝えないということです。

面接官は本音の転職理由を知りたがっているので、本音も少なからず含めるべきではあります。

大切なのは、そこから自分がどのように働きたいのかというポジティブな内容につなげて話を広げていくことです。

前職では実現不可能なことを理由に挙げる

退職理由の詰めが甘いと面接官に突っ込まれがちなのが、「それは現職でも実現できるのではないですか?」ということです。

特に本音の転職理由が別にある場合にぼろが出やすいところです。

例えば上で書いたように給与が低い、職場の上司との相性が悪いなど、それだけを転職理由として挙げるとネガティブな印象を与えてしまう場合は要注意。

大切なポイントは、自分自身のキャリアを全体像として捉え、どのような姿を目指していきたいのかということを具体的にイメージすることです

現職ではここまで出来た、今後の自分のキャリアを考えると次はこんなことにさらにチャレンジしたいと考えているという流れを作ることで、現職では叶わないからこそ転職をしようとしているという説得力が生まれます。

回答例:20代後半営業、インセンティブ色の強い企業に転職希望のケース

現職では自社ソリューションを店舗向けに売り込む営業をしております。お客様の課題解決のお力になれるという点で、とてもやりがいを感じながら仕事をしてまいりました。

しかし、現職で扱える商材は少なく、今後それが増えていく見込みもない状況です。

私自身は、より多角的なサポートを提案できるような営業として今後も力をつけていきたいと考えています。

そのため、より多くの商材を扱え、さらに新商品の開発にも注力している企業で経験を積みたいと考え、転職を決意いたしました。

また余談にはなりますが、現職は契約獲得数に応じた報酬は少なく、固定給がメインです。

給与がすべてではありませんが、自分で頑張った分が報酬という形でも目に見える状況で頑張りたいと考えています。

 

退職理由を整理する上での注意点

退職理由志望理由

転職希望者の面接対策をしているとよく起きる事象です。

退職理由を話しているはずが、いつの間にかその会社を志望する理由を話してしまっているというケースはよく見られます。

確かに退職する理由を転職によってより前向きなものに変えていく、それを踏まえると退職理由と志望理由の相関性はとても重要です。

ただしその2つを混同しないようにしてください。一連の話の流れとして整理するのがポイントです。

円満退職の表現には要注意

退職理由を話す流れで、退職は円満にできそうですか?または円満に退職できましたか?と聞かれることがあります。

退職交渉がスムーズに進み、立つ鳥跡を濁さずの形で退職することは最も理想的です。

ただし、引き留められることもなくとてもスムーズな退職であったと話した場合、社内で評価されていない人物だったのではないか、人間関係で問題がある人物ではないかといった疑念を生んでしまう可能性があるのです。

現職や前職では良好な人間関係を築いていることや、転職は重要視しつつ引継ぎにも真摯に取り組もうとしている姿勢を見せることが重要です。

回答一例

現職にはまだ退職の意向は伝えていないので、交渉を始めてみないとスムーズに進むかどうかはまだわからない状況です。

上司との関係は良好ですが、多岐に渡る業務を任されており、職場にも迷惑をかけるため多少の引き留めは想定されます。

しかし転職の意志は固いので、現職には納得してもらえるように引継ぎの準備なども万端にし、円満に退職ができるように対応するつもりです。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

退職理由は十人十色です。なんとなく調べた一例にそのまま自分の事を当てはめるだけでは説得力はなく、面接官に見抜かれてしまいます。

転職という機会自体は、個人差もありますが人生においてそこまで多くは訪れません。

その少ない機会に、ぜひ自分自身のキャリアと真剣に向き合ってみてください。

なぜこのタイミングで転職したいのか、何が今課題なのか、今後どんな経験を積んでいきたいのか、じっくり考えてみましょう。

もしかすると転職自体を見送るという選択肢を取る方もいるかもしれません。

衝動的な転職は実現したとしても後々後悔することも多々あります。自分の選択に後悔しないためにも、しっかりと時間を取って退職したい理由を考えてみることをおすすめします。

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