派遣エンジニアはやめておけ?派遣のメリット・デメリット

「派遣」と聞くと皆さんはどのようなイメージを持つでしょうか。

中にはあまりいいイメージを持てないという方もいらっしゃるかもしれません。

正社員ではない、給与もあまりよくなさそう、あちこち職場が変わるからどこに行っても肩身が狭そう一般的にネガティブなイメージが先行しやすい働き方でもあります。

しかし近年IT業界では、派遣エンジニアはなくてはならない存在です。

ここでは派遣エンジニアの働き方やメリット、デメリットについてご紹介していきたいと思います。

派遣とはどういう契約?

今後も拡大が予測される業界であるがゆえに、未経験から勉強してエンジニアとして手に職をつけようとする転職希望者は多くいます。

派遣エンジニアは正社員採用よりもハードルが低く、未経験者歓迎案件も多いため、転職者希望者に業界に入る足掛かりとして選ばれやすい働き方でもあります。

では、派遣エンジニアとして働くには、誰とどのような雇用契約を交わすのでしょうか。

エンジニア派遣は大きく分けて3つに分類されます。

  1. 登録型派遣(一般派遣)
  2. 紹介予定派遣
  3. 特定派遣(常用型派遣)

です。以下、詳しく見ていきます。

①登録型派遣(一般派遣)

エンジニア派遣の中で最もメジャーな契約パターンです。

派遣元は派遣事業をするために、国から認可を受けなければなりません。

エンジニアは派遣会社に個人情報を登録、仕事の紹介を受けた時に雇用契約を結びます。

給与形態は時給制のものが大半を占めています。仕事の紹介を受け、派遣会社と雇用契約を結んで業務に従事する前は給与の支払いは発生しません。

雇用契約は一般的に1~3年が多く、その期間が終了すると雇用契約も同時に終了します。同一事業所に対する派遣期間の限度は3年と決まっているからです。

私
3年を超える場合は正社員として雇用しなければいけないため、いわゆる「雇止め」という契約切りが行われる訳ですね。

中には日々または30日以内の雇用契約となる日雇派遣の案件もあります。

派遣法改正により日雇派遣は原則禁止となりましたが、ITエンジニア業務はその業務の特性上、例外として従来通り派遣が可能です。

②紹介予定派遣

派遣雇用終了後に、正社員や契約社員として発注元が採用することを前提とする派遣形態です。

一般派遣同様、給与に関しては派遣雇用時は時給制が多く、派遣雇用が終了し、雇用形態が変更される際に給与も企業の規定に沿って月給や年俸制に変更されます。

派遣から正社員になれる可能性があるということで、安定を求める人には人気がありますが、実際に紹介予定派遣を利用している企業は少ないのが実情です。

理由は簡単です。そもそも派遣社員を雇おうとする企業は、毎月給料を固定で払わなくてはいけない正社員を雇いたくないからこそ派遣社員を雇うからです。

更に派遣先企業の気持ちを代弁すると、わざわざ派遣会社に高い派遣料金を払って更に追加で紹介料(年収の3分の1程度)まで払わなくてはいけないのか?となります。

ですから、この記事をご覧の皆さんは、正社員になりたければ紹介予定派遣ではなく普通に正社員になれる道を探しましょう。

③特定派遣(常用型派遣)

実はこの特定派遣は2018年9月に廃止された事業です。

一般派遣は派遣先が決定した際に雇用契約が成立するのに対し、特定派遣はまず派遣会社と雇用契約を結んで正社員なるところから始まります。

従って、一般派遣よりも安定感があることは間違いありません。

一方で、派遣期間が無期限と言う点で一般派遣とは異なります。

では何が問題だったのでしょうか?

特定派遣ですが、国からの認可が必要な一般派遣と違い特定派遣は届出制であったため、特定派遣業者となることは比較的容易でした。また、一般派遣の厳しい財務要件を満たす必要がないため、中小規模のソフトウェアベンダーでも特定派遣事業者になることができました

結果、どうなったかというと、最初に雇用期限の定めのない正社員ではなく、半年契約など期限のある契約社員として雇用を繰り返して派遣するという制度の悪用が起こったのです。

私
最悪!

ということで、この制度はあえなく廃止となりました。

そして、契約形態はSESや偽装請負へ回帰しています。

派遣とSESの違い

SES(準委任契約)でも一般派遣でも、客先常駐であることに変わりがないため、同じように思われますが、決定的な違いは指示系統が雇用者にあるか派遣先のクライアントにあるかということです。

派遣の場合指示系統はクライアントにあり、その指示のもとに作業する労働力を提供します。

一方SESはエンジニアの技術力、能力を契約の対象としており、準委任契約という契約形態を取ります。こちらの場合は指示系統はSES企業にあり、残業や休日出勤の指示もSES企業側がします。

しかし、少しでもこの業界で仕事した人が分かると思いますが、クライアントが指揮命令しない状況なんて成立するのでしょうか?

あるはずもありません。

ですから、基本的にSESは違法性を孕んでいる事業形態なのです。そのため、多くの企業が特定派遣に流れた訳です。そして、特定派遣が無くなった今、SESに逆戻りという状況です。

私
ソフトウェア開発会社に就職したはずなのに、実質的に派遣社員として働かされるなんてあり得ないと思います。個人的にはSES企業が全滅して、一般派遣かフリーランスが中心になっていって欲しいですけどね。

キャリアとしてもSESより不利になる

SESの場合、基本的にはITベンダーに所属し、プロジェクトごとに職場の移動が発生します。ですから、転職の際には、履歴書には所属していた会社の名前を書き、職務経歴書に従事したプロジェクトを書いていくことになります。

対して、派遣の場合は履歴書に派遣された企業の名前を書いていくことが一般的です。

実はこれは、採用面接する側からするとあまり印象が良くありません。

そもそも転職を繰り返して会社を転々とする人が評価されないのは皆さんお分かりかと思いますが、派遣先を転々としている人も印象はそれなりに悪いです。

SESであれば色々な経験を積んできたと評価されるところ、派遣の場合は契約を打ち切られたと見られる可能性があるのです。SESでも切られることは多々あるのですが・・・

可哀そうですが、少なくても私は採用担当者だった時代にそのように見ていました・・・

派遣エンジニアの給与事情

派遣業界でも大手のテンプスタッフのまとめによると、日本全国全職種の派遣スタッフの平均月収は272,000円となるそうです。

さらに職種別でランキングを見ると、SE・プログラマ・ネットワークエンジニアの平均月収は422,048円と、ダントツの1位です。

また、IT系の20201月の平均時給額は下記の通りです。

職種 時給
SE、プログラマ(WEB・スマホ系) 2,444円
SE、プログラマ(オープン系) 2,550円
SE、プログラマ(汎用系) 2,267円
ネットワークエンジニア 2,738円
評価、テスト 2,045円

職種によってばらつきがありますが、上流工程の仕事はかなり時給が良い印象です。

なお、上の金額は経験者の場合で、未経験の場合は200~400円程度下がります。

また、時給は関東首都圏が最も高額で、地方と比較すると大きな差が出るので働く場所は要検討です。

私
2020年現在、東京都の最低賃金は1,013円です。ですから、2倍以上は普通に貰えちゃうって訳ですね。2,500円で8時間労働だと2万円ですから、若手であれば十分ですね。

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派遣エンジニアとして働くメリット

①得られる経験値、スキルが多い

派遣エンジニアは、派遣先が変わるごとに様々な企業やプロジェクトに携わります。

そのため正社員のエンジニアと比較すると、多様な案件を通じて幅広い経験を積みスキルアップがしやすいというのが派遣エンジニアのメリットと言えます。

②仕事を選べる

派遣という働き方を選ぶ方は、自分で働き方を調整したい、ライフワークバランスを取りたいという意識を持っているケースが多くあります。

正社員の場合は自分がこれをやりたいと思っても、必ずしもそれが叶うという環境ではありません。会社の指示のもと仕事をするのが正社員です。

一方派遣の場合、登録先に希望を伝え、それに沿った仕事を紹介してもらうため、自分のやりたいことから大きく逸れてしまうということはまずありません。

③スキルがあれば高収入も得られる

若手であれば正社員とほぼ変わらない、もしくはそれより低いということもありうるかもしれません。

しかし、スキル次第では派遣はより高時給で契約することも可能です。

月単位の収入で見ると、正社員エンジニアの月給を超える収入を得る派遣エンジニアもいます。

④転勤や異動の心配がない

正社員であれば避けては通れない転勤や異動ですが、派遣には関係ありません。

家庭の都合などで働く地域を絶対に変えられない、引っ越しを伴うような転勤は受け入れられないといった事情がある方にとっては、最も働きやすい働き方と言えるでしょう。

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派遣エンジニアとして働くデメリット

①収入が不安定

先ほどメリットでは月単位の収入が正社員の月給を超えることもあると書きましたが、年収で見ると少し見え方が変わります。

正社員の場合、固定給の他に各種手当やボーナスがあるため、月給が一見高く見えたとしても年収で見ると正社員の方が多いということもあるのです。

さらに時給制の派遣エンジニアの場合、労働時間によって収入が左右されます

年末年始や夏季休暇など、長期休暇がある月は勤務日数が少なくなるため収入が減少します。

このように、派遣社員にとって収入の不安定さは大きなデメリットと言えるでしょう。

②社会的信用が正社員より得にくい

先に述べた通り、派遣社員=正社員よりも収入が不安定というイメージがどの業界でもあるため、残念ながら社会的信用が得にくいというデメリットがあります。

特にそれが顕著に感じられるのが、ローン審査です。

日本のローン審査では、勤務先の企業規模、勤続年数、雇用形態などが重視されると言われています。

派遣エンジニアの場合、勤務先はプロジェクト単位で変わる、勤続年数もすぐにリセットされる、雇用形態は派遣となると状況はあまりよくありません。

これから住宅ローンなどを汲む可能性がある場合、派遣という働き方はデメリットとなりうるでしょう。

③マネジメントスキルは身に付かない

今後エンジニアとしてキャリアを積んでいく中で、マネジメント力を身に付けたいと考えるならば、派遣という働き方は適していません。

派遣には基本的に責任がありません。しがらみのない働き方ができる分、マネジメントを任されるようなことも基本的にはありません。

そのため、マネジメントを経験し、マネジメントスキルを身に付けるということはできないというデメリットが生じます。

④肩書が身に付かない

派遣社員というのは生涯一匹狼の働き方です。

ですから、正社員として得られる係長、課長、部長という肩書が得られません。

なぜ、これがデメリットかというと、35歳を過ぎてマネジメント経験や管理職の肩書がないと、転職の際に不利になるからです。

派遣で長年働いてきた人も、35歳を過ぎるころから正社員になりたいという人が増えてきます。しかし、既に時遅しです。20代のうちからよくよく考えておいて下さい。

⑤福利厚生は限定的

派遣社員は正社員よりもやや限定された福利厚生が受けられます。ややデメリットというところでしょうか。

有給休暇

派遣会社の設けた条件を満たしている場合取得可能。

(例:就労開始から半年継続勤務している、労働日の8割以上出勤している等)

社会保険

派遣会社の加入条件を満たしていれば加入可能。就業内容、就業期間等による。

交通費

交通費の支給は一般的にはありません。ただし、求人によってはクライアントが交通費を支給してくれるケースもあり。

産休、育休

産休は正社員同様、派遣会社に申請すれば出産予定日の6週間前から取得可能です。

ただし、派遣会社との契約が切れてしまうと取得はできなくなってしまうので要注意です。

育休についても下記の条件を満たしていれば取得可能です。

  • 同じ事業主に1年以上雇用予定であること
  • 子供が1歳半に達するまでに労働契約期間が満了することが明らかではないこと
  • 休業開始予定日の1か月前までに申し出ること。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

派遣エンジニアの働き方、そのメリットとデメリットについてご理解いただけましたでしょうか。

もし派遣か正社員かという点で悩んでいるのであれば、まずは正社員を選ぶことをおすすめします。

理由は、安定した環境と収入を得ながらスキルを身に付け、その先の選択肢を増やすことが可能だからです。

派遣のメリットに挙げた通り、派遣エンジニアの方が様々なプロジェクトに携われる分スキルの向上も早いかもしれません。

だからと言って正社員だからスキルが身に付かないということではなく、正社員でもスキルの向上は十分に可能です。

働き方に悩むのであれば、まずは収入面や社会的な信用を得やすく安定した環境で正社員として経験を積み、スキルを磨きましょう。

さらに余裕が出てきたら副業をして新たなスキルを身に付けましょう。それによって自分自身の市場価値がさらに上がります。

そのあとは転職するもよし、フリーランスとして独立することも可能になるでしょう。

もちろん派遣で多くの経験を早期に積み、早々にフリーランスとして独立、起業するという選択肢もあります。

自分のイメージするキャリアに対し、そこに向かっていくために働き方を選べるというのはエンジニアの大きなメリットです。

後悔することがないように、ぜひ今一度自分の目指す方向性を見つめてみてください。

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