客先常駐でバックレは可能?

これは客先常駐先が地獄!もうバックレたい!と考えている方に向けた記事になります。

客先常駐という働き方はエンジニアにとって非常に辛いものです。

多くの方がバックレることを望んでいるものの、恐らくは

  1. バックレることで損害賠償を請求されてしまうのではないか?と心配
  2. 自社から辞めさせない!辞めたら訴えてやる!と脅されている

状態だと思います。

この記事ではそんな方に向けて、法律やその他の面を整理してお伝えしたいと思います。

基本バックレは可能だが、リスク排除は必要

結論としては、退職届を会社に出して最短(2週間程度)で辞めるソフトなバックレは可能だが、出社拒否などのハードなバックレは自社から訴えられる可能性もあるため避けましょう、となります。

私も、プロマネがある日突然に失踪した事案を見ています。しかし、損害賠償はおろか、解雇にもなっていませんでした。

だからと言って、よし俺もバックレたるぜ!と思ってはいけません。

どうやら、当プロマネは長時間残業が続いており、うつ病のような状態になっていたようなのです。

逆に自社を労災で訴えることができる状況でもあった訳です。

ここから言えるのは、プロジェクトの状況や、契約状況、自分の労働状況、健康状態を見て総合的に判断する必要があるということです。

客先常駐が嫌だから速攻バックレたったwwというのはかなりリスキーなのです。

そこら辺を以下で解説していきます。

私
無断欠勤など、ハードなバックレは止めましょう。

そもそも訴えられる?契約違反になるのか?

プロジェクトを途中で辞めたい!と言うと、上司から「そんなことは許さない!損害賠償を請求してやる!」と言われるというのはよく聞く話です。

そんなことが法律的に可能なのでしょうか?我々は契約に基づいて働いていますから、損害賠償の根拠は契約になります。

では、客先常駐SEにはどういった契約が関係しているのでしょうか?

クライアントとの自社との契約

客先常駐の場合、2次請け3次請けとなっているケースが多いので、クライアントはSIerやITベンダーとなると想定します。

その場合、考えられる契約は以下の3点です。

  • 準委任契約(SES契約)
  • 請負契約
  • 派遣契約

ここでは、最も多いと思われる準委任契約(SES契約)に絞って話を進めたいと思います。

この準委任契約ですが、その性質としては時給のバイトとほぼ同じです。作業時間あたり●●円という契約で、成果物を完成させる義務は負いません。

そして、重要なのはクライアントに指揮命令権がないということです。

つまり、

  • 作業者を選ぶのはベンダー側(自社)
  • 作業者を指揮監督するのはベンダー側(自社)
  • 使用者はベンダー側(自社)

私
クライアントは最初に面接すらしてはいけない訳ですね。

さて、本題です。

皆さんがバックレたいと思って、会社に退職届を出した時、この契約はどうなるのでしょうか?

準委任契約では、どちらか一方が相手方に不利な時期に一方的に契約の任意解除すると民法651条2項によって、相手方に損害賠償する必要があります。

しかし、自社がクライアントとの契約を一方的に解除するなんてあり得るでしょうか?

これはほぼあり得ないと言っていいでしょう。

なぜなら、ベンダー側は本来誰を連れてきてもいい訳ですから、単純に代打のエンジニアを連れてくればいいだけだからです。

私
一人親方の会社の社長又はフリーランスが体調を崩して契約を解除するというケースでしかないでしょうね。

仮に、優秀な皆さんと同レベルの人を用意できなくても、それは会社の問題であり、皆さんの問題ではありません。

皆さんからすると、会社の就業規則に従って数週間前に退職届を出して、必要ならば引継ぎをしてやれば全く問題ないということになります。

むしろ皆さんは、クライアントから指揮命令があったという証拠を掴んでおき、労働基準監督署にタレこむこともできます。

自社は最大1年の懲役又は100万円の罰金、更には会社名が公表されるなどしますし、プロジェクトへの出入り禁止でしょう。これを上司にほのめかせば、交渉としてはかなり強力であり、退職も余裕でしょう。

私
準委任契約でも指揮命令を受けている状態を「偽装請負」と呼びます。これは、この業界で横行していることですので、メールやボイスレコーダーを使えば、証拠はいくらでも取れるでしょう。

自社と自分との契約

前提が準委任契約ですから、基本的に自社とは正社員として雇用契約を結んでいるものとして話を進めます(期限の定めのある契約社員は基本的に設定された期限まで働かなくてはいけないので、ここでは触れません)。

結論から言うと、会社の就業規則に従ったスケジュールで退職届を出しさえすれば、普通に辞められます。

この際、会社の就業規則で退職日の1ヵ月前に退職を申し出るように決まっていれば、それに従う必要があります。逆に、就業規則にそのような規定がなければ、民法の627条が適用されます。これは最短で約2週間と思っておけば大丈夫です。

私
2週間、下手したら1ヵ月も我慢しなきゃならないの!?すぐ辞めたいのに!と思うかもしれませんが、人は「終わる日」が分かっていれば余裕で我慢できるものですよ。これはマジです。

いくら会社の上司が恫喝してこようと、職業選択は我々の権利ですから、これが覆ることはありません。

では、実際に訴えられる可能性はあるのでしょうか?

これは会社次第ですが、ほぼ可能性としては非常に低いと思われます。

私
以前、開発途中で辞めたエンジニアが、開発が頓挫したことについて会社から訴えられるというケースがありましたが、会社側の請求は全て棄却されています。
かなり責任が重い立場のエンジニアでも、訴えられて負けることはないのですから、会社が代打を用意すれば良いだけのケースではエンジニア側が負けることなど早々ないでしょう。

このように、訴えを起こすことは可能でしょうが、基本的に会社側が訴えて勝つ可能性は低いのではないかと予想されます。従って、会社には訴えるメリットがありません

ですから、客先常駐エンジニアの皆さんは、粛々と退職届を出して期日通りに辞めれば良いのです。

突然の出社拒否は話が別

突然の出社拒否→無断欠勤はどうでしょう?

いわゆるバックレといえばこのケースの場合が多いようですが、これだけは止めておいた方が良いです。

なぜなら、辞めます!と宣言して退職日まで無断欠勤した人が会社から損害賠償を請求され、「雇用契約上の債務不履行」として損害賠償義務が認められた判例があるからです。

基本的には賠償金額が少額であることから会社が社員を訴えることはないと思います。

とはいえ、SESでは代打のエンジニアを見つけられなければ大きな問題となってしまいますし、そうでなくてもクライアントとの関係性は悪化します。会社の経営陣も相当頭に来ていることでしょう。

従って、会社が皆さんを訴えるモチベーション(≠メリット)はそれなりあると思った方が良いでしょう。

一方で、病気の診断書があれば話は別です。

もし欠勤するなら、なんらかの病気で診断書を書いてもらい、病欠扱いにした方が良いでしょう。診断書を出して欠勤すれば、会社は皆さんを訴えるよりも、逆に訴えられると思ってビビることでしょう。退職もスムーズにいくはずです。

人間関係はどうなる?

プロジェクト最中に退職するというのは、人間関係にかなり影響します。

仕事を引き継いだ人も、「仕事を押し付けられた」と思いがちですし、同じプロジェクトで客先常駐していた同僚も、「逃げ出した!」「みんなを裏切った!」と思うものです。

これは私も自分が退職する側としても、仕事を引き継いだ側としても散々体験していますので、良く分かります。

特に、欠勤するといったハードなバックレは、クライアント側にも自社側にも確実に遺恨を残すことに間違いありません。そもそも、損害賠償云々も究極的には、会社の経営陣との感情的なねじれです。

この業界では、仲の良かったクライアントが、個人的にプロジェクトを紹介してくれたりすることがありますが、遺恨を残すとこのようなことは全く無くなります。会社の同僚とは時間が経てば疎遠になるからまあいいやと思わないでもありませんが、後々まで自分が後ろめたさを感じてしまう可能性が高いので、綺麗に清算しておく方が良いでしょう。

一方、ソフトなバックレであれば、時間が全てを忘れさせてくれます。むしろ、昔の同僚とあの時は大変だったなあと笑い話として盛り上がることができるでしょう。

人間関係の側面を考えても、しっかりとした手順を踏んでのソフトなバックレをおススメします。

まとめ

このページでは、客先常駐からバックレが可能か?ということについて法律面や人間関係の面から考察してみました。

結論としては以下のようになります。

  • バックレはバックレでも、突然無断欠勤をするなどハードなバックレは止めた方が良い。下手をすると訴えられる可能性もある。
  • きちんと退職届を出して辞めるソフトなバックレなら法律的に何の問題もない。訴えられることもない。

是非参考にしてみて下さい。