SES契約・客先常駐の辞め方と退職方法!トラブルを避ける実践ノウハウ

このページでは客先常駐SEのために、スムーズな退職方法についてお話させていただこうと思います。

「辞めさせないように何度も説得してくる」
「給料などの条件をだしてしつこく交渉してくる」
「契約が残っているので損害賠償を請求するなど脅してくる」
「有給を使わせてもらえない」
「上司や営業から嫌がらせをされる」

あたなはこんなことで困ってないですか?
実は著者も客先常駐SEの出身ですが、私自身が体験したことでもあります。
このページではあなたが嫌な思いをすることなくスムーズに退職できるよう、ささやかながらアドバイスをさせていたければと思います。
少しでも参考になれば幸いです。

退職の際にトラブルになるケースを理解しよう

まずあなたが退職する際に最もトラブルになる可能性が高いケースについて理解しておきましょう。
それは、契約期間内に退職しようとすることです。
これは所属会社が営業担当が最も嫌がりかつトラブルになるパターンなのですが、その理由は簡単です。

私

SES業界はクライアントやパートナー企業との信頼によって成り立っています。
派遣会社は人材を派遣するにあたり契約を締結してこの期間は稼働しますよという約束をしています。
それを破棄する訳ですから企業としての信頼問題になりますし場合によっては今後の取引ができなくなくこともあります。

大企業や優良クライアントが相手の場合将来的な損失も試算すると大変大きな痛手となるケースもあるのです。
こういった事情を理解していくようにしましょう。

常駐先と所属企業間の契約とエンジニアと所属企業間の契約期間が異なっていることやそもそも契約期間を知らされていないことも多いため、問題に発展するケースが多いのです。

転職パンダ
転職パンダ

また、信頼問題以外にもプロジェクトに影響がでてしまい現場が困るので引き留めてくるというケースもあります。
・チームの中心になっていて辞めるとプロジェクトに支障がでる
・長期で参画する予定で教育している
・急に辞めるとリソースが足りなくなる
このあたりはエンジニア側としては知ったことではないというのが本音だと思いますが、現実問題として常駐先のプロジェクト状況が落ちつくなり引継ぎ要員が確保できるまでは退職させてもらえずもめるということはあるのです。

まとめると、退職時に

  • 常駐先との契約期間内であること
  • プロジェクト状況的に抜けると困ること

この二点がトラブルの大きな要因になるのです。
では次にトラブルを避けるための具体的な方法について考えていきましょう。

トラブルにならないためには?自分の契約期間を確認すべし

トラブルを避ける方法として重要なのが常駐先と企業間の契約期間を確認することです。
契約期間は基本的には以下の期間で更新されます。

  • 一カ月更新
  • 二か月更新
  • 三か月更新
  • 半年更新
  • 一年更新

半年更新や一年更新というケースは多くはありませんが、プロジェクトや企業の関係性によってはそういった契約を締結してエンジニアに知らされていないということもよくあります。

私

契約期間を確認したらその一カ月前までには契約終了(退職)の意思を伝えるようにしましょう。
SES業界において営業は一カ月前までに契約更新の意思表示を行います。
それまでにしっかりと営業経由で終了の意思を伝えていれば大きな問題になることを防ぐことができます。

プロジェクト的に抜けると困るといわれるケースの対応について

次にトラブル原因のもう一つの理由であるプロジェクト的に抜けると困るので引き留められるケースについて説明していきます。
長期前提の案件に参画していたりチームで重要や役割を担っているとこういったケースも起こります。
このようなトラブルはどのように回避すればいいのでしょうか?
ケースバイケースではあるのですが、以下が一般的な方法です。

  • 営業担当に状況を伝えクライアントの判断を仰ぐ
  • 転職活動のことを営業に伝え引継ぎ要員を手配してもらう

つまりプロジェクトになるべく迷惑をかけないようにあなたのできる限りの配慮をするということです。
退職にあたり所属企業はあなたにネガティブなイメージを持っていることもあるので、なるべく誠意を見せるということがトラブルを避けるためには大切なことです。

それでもまだ揉めそうな人のために・・・法律的にはどうなの?損害賠償なんてあり得る話なの?


トラブルを回避するための具体的な方法について説明してみました。
このように配慮してもまだトラブルになるケースというのはあります。
それは所属企業のイチャモンや嫌がらせの類で悪質な企業だと損害賠償をちらつかせてくるような企業もいるのです。
しかしこのようなケースは法律的にみるとどうなのでしょうか?
実は同じようなトラブルというのは頻発しており弁護士事務所や労基に相談が寄せられるケースは大変多いようです。
結論からいうと労働者は基本的には一か月前に退職を意思を伝えれば理由の如何を問わず退職できます。
(→参考:名古屋法律事務所の民法627条1項の退職の自由の説明より)

弁護士や専門家に相談するとわかると思いますが職業選択の自由という観点から退職は理由の如何を問わず保証されています。
プロジェクトの影響やその他の理由で損害賠償は100%できません。

転職パンダ
転職パンダ

ただし

  • 何の連絡もせずバックレた
  • 入館証やセキュリティーキー・備品などを返却しない
  • 企業の重要な情報を盗み出したり意図的に損害を与える行為

などを行った場合はまた話が違ってきますので気をつけましょう。
(このような事をする人はいないと思いますが)

また、一点エンジニアが気をつけないといけない点があります。
年俸契約や半年ごとの契約で雇用している場合、一カ月でなく三か月に伝えないといけないというのが法律のルールです。
SESやエンジニア派遣の企業ではこのような給与体系は少ないと思いますが、知識として知っておくといいでしょう。

(→参考:名古屋法律事務所の民法627条3項の期間の定めのない雇用の解約の申入れの説明より)

私

ということでいきなり「今日で辞めます」というような漫画のようなサラリーマンや本当に損害を与えるようなは論外ですが、一か月以上前に退職の意思を伝えれば損害賠償になることはありませんので安心してください。

 

退職前に忘れずに!有給を計画的に使うべし


退職をする決意が決まったら有給をうまく使うことも忘れてはいけません。
客先常駐SEの場合、現場が忙しく退職の際に有給消化が全然できず余ってしまうことが多々あるからです。
有給を買い取ってくれる会社ならいいのですが、退職するSEにそのような対応をしてくれる派遣会社は非常に少ないでしょう。

有給は正当な権利として法律で認められています。
ただし派遣常駐型のビジネスの場合は企業間の力関係もありどうしてもプロジェクトや現場に気をつかわなくてはいかせません。

私

自分の都合でガッツリ有給をとることでいらぬトラブルを招くという恐れもあります。
ですので転職活動を開始した時点で残有給数を把握しちょうどなくなるようにチョコチョコ使っていくというのが現実的な方法としておススメです。
早退や午後休みだと目立つし現場に迷惑をかけてしまう可能性があるため午前休を使うようにしたりという配慮も必要です。

引き留め対策と自社に説明する転職理由について

退職の意向を告げると引き留めをしてこようとしてくる企業は多いです。
派遣型ビジネスの場合人材が利益に直結しますので企業としては当然といえば当然で、かなりしつこく引き留め工作をしてくる企業もあります。
やっかいなのが

  • どういった条件であれば翻意してくれるか
  • 本当の転職理由を教えてほしい

というように何とか引き留めようとしてくるパターンです。
こういった際に自社に転職する転職理由としては以下のようなものがおススメです。
一般的に業界で使われることも多いので汎用性もありかつなかなか引き留めが難しい理由です。

  • IT業界から離れ他業種に転職するという
  • 実家に帰るため仕事を続けられないという
  • 知人と一緒に会社を立ち上げることになったという
  • フリーランスとして独立するという

などです。
転職理由をいちいち詳しく説明するのが面倒くさい方は是非使ってみてください。

客先常駐から脱出したエンジニアに話を聞いてみました

私
青山さん(仮名)も客先常駐エンジニアだったんですよね。
はい。常駐先企業によって異なるものの、主な業務内容はサーバーの運用・保守・監視業務でした。
常駐先企業のシステムに携わる業務が多かったので、一般的には「社内SE」と呼ばれる業務を実施していました。基本的には簡単な業務が多いですが、技術が高まった頃にサーバーの構築などを任せて頂ける事もありました。
若手エンジニアの青山さん(仮名)
若手エンジニアの青山さん(仮名)
私
転職を決意された理由を教えて下さい。
客先で評価されても、自社の評価にはつながらないのが一番の不満だと感じました。
私の勤めていた会社の場合だと、一番評価されるポイントは「資格」でした。なので「IT技術は高いけど資格が少ない人」と「IT技術は低いけど資格が少ない人」の場合だと、後者の方が評価されやすいです。
このように、本来評価されるべき技術が評価されず、勉強すれば取得できる資格などが評価基準となっているのが不満でした。
若手エンジニアの青山さん(仮名)
若手エンジニアの青山さん(仮名)
私
よくあるケースですね。上司は現場での働きぶりを見ていないですからね。どういった転職活動をされたんですか?
時期は2019年4月で26歳の時でした。客先常駐ではないIT企業への転職を希望していましたが、今現在、経験豊富ではない求職者を雇うIT企業は基本、客先常駐型となるので、自分の希望の会社に転職できるかが不安でした。転職活動は主にIT企業に強い転職エージェントを活用していました。
若手エンジニアの青山さん(仮名)
若手エンジニアの青山さん(仮名)
私
そして、希望通りに転職できたと。転職先の仕事内容を教えて下さい。
転職後の仕事内容は、「ホスティング事業」を手掛ける会社のサーバーやネットーワーク機器の運用や保守です。
これまでは社内のサーバーやシステムを対象としていましたが、次の会社では「お客様に貸し出しているサーバーやシステム」を対象としている為、非常に責任ある仕事内容となっています。
常駐ではなくなったため、上司の目は近く「技術力」が適正に評価されるようになりましたし、会社の都合によって常駐先を転々とさせられる事も無くなったため、この点は転職してよかったと感じています。
若手エンジニアの青山さん(仮名)
若手エンジニアの青山さん(仮名)
私
なるほど、そういった自社サービス型のIT企業というのは転職先としては魅力的ですよね。今後、SaaS、IaaSも益々一般的になっていくでしょうし、SIerのよるシステムソリューションビジネスも下り坂になるはずです。転職の満足度としてはどうですか?
給与はほぼ横ばいだったのですが、客先常駐から脱出できたので80点ですね。
若手エンジニアの青山さん(仮名)
若手エンジニアの青山さん(仮名)
私
良かったです!本日はありがとうございました!

まとめ

客先常駐SEのトラブルにならない辞め方について色々とお話をしてみました。
著者の体験をもとにかなり具体的な方法にまで言及してみたので参考になれば嬉しく思います。
また、転職活動の効率を上げるためには転職エージェントを利用することは必須と言えます。
専門の転職エージェントであればあなたの経歴やスキルを見てどういった企業が狙えるかという的確なアドバイスをもらえるため、一人で転職活動をするよりはるかに効率がいいからです。

私

著者のおススメのエージェントも紹介していきますので是非登録して活動をスタートしてみてください。
あなたのエンジニアライフが豊かになるようにお祈りしております。

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